東南アジアのDD51探訪

皆様ご存知、かつて国鉄時代の非電化区間を支えた名機関車、DD51形。日本国内ではすっかり姿を消しつつある彼らですが、海を渡った先では今なお現役。そんな異国の地で働くDD51に再会すべく、東南アジア3カ国を巡りました。
 
 
マレー工臨

                        

マレーシアの首都クアラルンプール近郊では、現在、大規模な線路更新工事(KVDT2)が進行しています。マレー鉄道からこの工事を請け負う建設会社「Dhaya Maju Infrastructure Asia(DMIA)」は、世界各国から輸入した中古機関車を運用しており、その中には元JR西日本のDD51も含まれています。
これらの車両は2000年に日本で廃車となった後、一度タイでの線路工事に投入され、その後マレーシアへ再譲渡された経歴を持ちます。現在は2両がクアラルンプール近郊で稼働しており、今回の調査でその両機を撮影することができました。
 
DD51 1118
DMIA 8006(元JR西日本 DD51 1118)
DMIA 8006(元JR西日本 DD51 1118)

数日間にわたる捜索の末に出会えたのは、オレンジ色の車体が目を引くDMIA 8006号機。昔のプラレールのDD51にそっくりな色をしています。この日はポートクラン線で残土輸送を行っていました。

6年前(2019年)の姿
6年前(2019年)の姿

この車両は6年前にも撮影していましたが、当時と比べるとかなり草臥れた感じがします。


とはいえ、タイに渡った元JR北海道のDD51が維持・整備に苦慮している現状を思うと、マレーシアへ渡った車両が輸出から30年近く経った今もなお稼働しているのは、まさに奇跡的と言えるでしょう。 やはり、日本で早期に廃車され不定期の工臨運用が中心だった車両と、北海道の過酷な環境下で寝台特急の先頭に立ち続けた車両とでは、その後のコンディションの差があるのでしょうか。


 

 

 

DD51 1032

DMIA 8005(元JR西日本 DD51 1032)
DMIA 8005(元JR西日本 DD51 1032)

小豆色のDMIA 8005号機にも遭遇。

チキ工臨が走り出しそうな雰囲気でしたが、いくら待っても動き出さず、最終的には引込線に引っ込んでしまいました。

 

 

元タイ国鉄 KP型 

元クイーンズランド鉄道 

DMIAはJR西日本以外にも、タイ国鉄やオーストラリアのクイーンズランド鉄道、インド国鉄、マレー鉄道などから多数の中古機関車を購入しています。これらの工臨は日中時間帯でもお構いなしに本線を往来していました。体感8割はインド製YDM-4でしたが……
 
なお、マレーシアには他にもう1両のDD51がいますが、こちらはクアラルンプールから遠く離れた地方都市にいるとのこと。今回は時間の関係で訪問は断念しました。
 

  

撮影ガイド

 

・KVDT2(Klang Valley Double Track Project Phase2)

マレー鉄道のクアラルンプール近郊で実施されている、老朽化した線路を更新するプロジェクト。複線区間を一時的に単線化し、使用を休止した側の線路を新たに敷き直す大規模な工事が行われている。工事期間は2016年から2029年までの見込み。

現在はフェーズ2の段階で、以下の2区間が工事の対象となっている。

・Kuala Lumpur-Port Klang

・Salak South-Seremban

 

・DD51の運用

DMIAの機関車は各工事区間へのレール、バラスト、残土、枕木などの資材輸送を担っている。車両基地は西海岸線Serendah-Rawang間に位置するが、その他にも各地にある引込線などにも停泊する姿を確認できた。

工事の進捗に合わせた不定期の稼働であるため、まずは始業前に停泊中の車両を探し、動き出すまで近くで待機し、稼働後は列車やタクシーで先回りして撮影しよう。

              

 

 

 
ナムトク工臨

                        

タイの工事会社A.S. ASSOCIATED ENGINEERING(AS社)に渡った元JR北海道のDD51にも動きがありました。
 
この車両は以前までタイ国鉄南線の複線化工事で使われていましたが、2025年末から1か月ほどは他の工事会社にレンタルされて、泰緬鉄道ナムトク線のバラスト散布工事で使われました。タイ屈指の景勝路線であり、今までの主要幹線での工事とは違うローカル線での運用は、極めて稀な機会です。

 

DD51 1137+ホッパ車8両  WangPho - KoMahaMongkol
DD51 1137+ホッパ車8両 WangPho - KoMahaMongkol

本線上に停車して豪快にバラストを積むDD51 1137号。懐かしの北斗星色の凸が日本ではありえない作業をしている光景に唖然としました。やっぱりこの色が一番かっこいいですよね。

 

 

DD51 1137+ホッパ車8両  NamTok - BanPuPong
DD51 1137+ホッパ車8両 NamTok - BanPuPong

バラスト散布の様子。散布後はショベルカーを使い手動でバラストを均していく。日中時間帯に旅客列車を運休させずに、その合間を縫ってこれほど大胆な作業を完遂してしまうオペレーションには驚かされます。

 

 

DD51 1137+ホッパ車8両  NamTok - SaiYokNoi
DD51 1137+ホッパ車8両 NamTok - SaiYokNoi
DD51 1137+ホッパ車8両  NamTok - SaiYokNoi
DD51 1137+ホッパ車8両 NamTok - SaiYokNoi
DD51 1137+ホッパ車8両  NamTok
DD51 1137+ホッパ車8両 NamTok
DD51 1137+ホッパ車8両  WangPho
DD51 1137+ホッパ車8両 WangPho
DD51 1137+ホッパ車8両  WangPho - KoMahaMongkol
DD51 1137+ホッパ車8両 WangPho - KoMahaMongkol
ナムトク線の青空の下を走る星釜。大変素晴らしい光景を見させていただきました。
AS社のDD51はナムトク線での工事を終えて、現在はノンプラドックのデポに戻っています。今後はタイ東北部の複線化工事へ転属予定とのことで、タイでの活躍はまだしばらく続きそうです。
 
 
 
 
ラオス国鉄

                        

2025年、ラオスにもDD51が輸出されました。令和の時代に運行国が拡大するという予想外の展開に加え、なにやらブイな塗装になっているらしい。というわけで、久々にラオスまで足を伸ばしてきました。

 

LNR L002号(元JR北海道DD51 1143)
LNR L002号(元JR北海道DD51 1143)

ターナレーン発ノンカイ行き2248レを牽引するラオス鉄道L002号。

かつてのユーロライナーを想起させる白い塗装が施され、非常に際立つ外観となっています。

 

 

LNR L002(元JR北海道DD51 1143)
LNR L002(元JR北海道DD51 1143)

ノンカイ駅構内では、同じく日本から譲渡された元JR西日本の24系客車と並ぶ場面が見られました。かつて日本では引退を待つばかりだった両形式が、異国の地でそれぞれ定期運用を持ち、肩を並べる姿は感慨深いものがあります。

 

 

LNR L002号(元JR北海道DD51 1143)
LNR L002号(元JR北海道DD51 1143)

折り返し2249レを撮影。コキ1両と寂しい編成ですが、現在は試験的な運行とのことで、将来の長編成貨物の牽引を期待したいところです。

 

 

時刻の目安 2026年1月

・2248レ Thanaleng→Nong Khai 10時頃

・2249レ Nong Khai→Thanaleng 11時頃

 

ラオスのDD51は他の2カ国とは違い、定期貨物列車として運転されている。ダイヤ上は夜間帯の運転であるが、実際には早発が常態化しており、快速148レの続行でターナレーンを出発し、ノンカイ到着後1時間ほどで折り返すことが多く見られる。