LCR ラオス中国鉄道 乗車記

2022年9月訪問


 


昨年12月、それまで鉄道とは殆ど無縁だったラオス人民民主共和国に、突如として160km/h対応の高規格な電化鉄道が開業した。

中国国境の街ボーテンと首都ビエンチャンを結ぶラオス中国鉄道(LCR)だ。


中華人民共和国の“一帯一路”構想の下で建設され、駅・車両・システムの全てが中国方式なジェネリック人民鉄路に乗るためラオスの首都ビエンチャンを訪問した。



ビエンチャン駅へのアクセス

ຕະຫຼາດເຊົ້າ→ສະຖານີ ນະຄອນຫລວງວຽງຈັນ



ビエンチャン駅は市街地から10km以上離れた郊外にある。


列車の時刻に合わせて市街地から連絡バスが走っていて、時刻表には、“Morning Market”バス停からビエンチャン駅まで1日2本の路線バスが書かれている。

しかしこれは罠で、実際にはMorning MarketではなくCentral Bus Stationから出発していた。

そもそもMorning Marketが実在するバス停なのかすら怪しいところだ…。


路線バス時刻表 2022年9月現在

セントラルバスステーション発

(時刻表上はMorning Market発)

6:10  13:00

 ビエンチャン鉄道駅発 

7:30  15:45

運賃:13000kip(約130円)

所要時間 : 40分

  ※この他に三江市場〜鉄道駅のバスも3往復ある。


なお、このバスは早発することがある。

この日も往路の鉄道駅行きは時間通り、折り返しのバスターミナル行きは20分以上の早発していた。

時刻表も経路も当てにならないので余裕をもって行動しよう。




LCR ビエンチャン鉄道駅

ລົດໄຟ ລາວ ຈີນ  ສະຖານີນະຄອນຫລວງວຽງຈັນ

 


タラートサオ・バスステーションから40分でジェネリック人民鉄路 ビエンチャン駅に到着。

 
中国式のとにかく大きな駅舎には英語は無くラオ語と中国語が並ぶ。
首都でも大きな建物があまり無いラオスにおいて、この駅は国内有数の巨大建築物ではないのでしょうか。
 
 



向かって右側には切符売場の建屋。

窓口営業時間は6:30-10:00、13:30-16:30、18:30-20:00のみ。

 


乗車券は3日前から発売されるが、列車が1日3往復と少ないこともあり当日には満席になって予約出来ない事が多い。

この日は7:30発C82列車、8:00発K12列車が満席だったので15:05発C84列車のチケットを購入した。



 

荷物検査場で買ったばかりのアルコール消毒スプレーを没収されつつも駅に入場。
駅舎の中は巨大な待合室と売店、軽食の屋台があります。

トイレは環境に配慮されたペーパーレス仕様!
東南アジアによくあるシャワータイプのウォシュレットも無いのでトイレットペーパーを持参しましょう。





改札開始は発車時刻の20分前。

事前に列に形成されていても改札口が開くと我先にホームに行きたい人が列を無視してどんどん横入りしてきます。

全車指定席なのにどうして……





C84列車 ビエンチャン→バンビエン

ຖ້ຽວC84  ວຽງຈັນວັງວຽງ



乗車列車はビエンチャン発ルアンパバーン行きC84次。

中国の在来線でお馴染みのCR200J型復興号が使用される

電車のように見えるものの実際は機関車+客車7両+制御客車で構成される固定編成のプッシュプル列車だ。

 


中国鉄路の何とも言えない黄緑塗装のCR200Jと違い、こちらはスタイリッシュなラオス国旗カラー。

是非とも先頭部の写真を撮りたいと思いホーム先端に向かった所、職員に制止されてしまった。

残念ながら先頭車両には近づけないそう。




Vientiane→Vang Vieng 一等座 200000kip(約2000円)

 


客室は商務座(Business)、一等座(First)、二等座(Second)の3クラス制。

今回は一等座 ファーストクラスに乗車した。

 

一等座の座席は集団見合い配置のリクライニングシートで、新幹線グリーン車のような座り心地。

窓割りと座席の配置が合っていないので外の景色を見れない席があるのが残念。

 

 


 


ビエンチャン発車後はこれといって美しい景色は見えないものの、水牛や猿など動物が歩いている草原や、何もない無人地帯に設置された有人の信号場、度々現れる農村などなど飽きを感じさせない車窓が続く。

 

 




DF4Bが大量に並んでいる保線基地の横を通過。

中国で撮りたい機関車をまさかラオスで見ることになるとは…

このうち一部の車両は貨物列車の後補機として使われているらしい。

 


 

そうこうしているうちに下車駅 バンビエンへ




ビエンチャンから66分、列車は定刻でバンビエンに到着。

バンビエンでは発車していくCR200Jを後追いで撮影が出来た。

やはりこの車両はカッコイイ。いつか沿線で撮影してみたい。

 

 

 

LCR バンビエン鉄道駅

ລົດໄຟ ລາວ ຈີນ  ສະຖານີ ວັງວຽງ

 


秘境の街バンビエンにも立派な駅舎が建てられている。

 

とはいえ立派なのは駅だけで周囲には何もない。

駅舎の写真を撮った場所で後ろを踏み向くと………………

 


 


駅前にはこのような未舗装の道路が広がっている。

 

写っている車両はソンテウと呼ばれるトラックの荷台に乗るタイプの乗合タクシー。

この駅へアクセス出来る公共交通はソンテウだけ。市街地まで30000kip(約300円)

道中に野犬の群れが彷徨いていたため徒歩での移動は非推奨だ。

 

 

バンビエンを堪能した後、帰りの列車に乗るため再び駅を訪ねた。

 

 

K11列車 バンビエン→ビエンチャン

ຖ້ຽວK11  ວັງວຽງ→ວຽງຈັນ

 


帰りは客レ!!!!!!!!!

 

乗車列車はボーテン発ビエンチャン行きK11次

車両はHXD3C型機関車 + 25G型緑皮車7両編成。

 

客室は軟臥(Soft Sleeper)と硬座(Hard Seat)の2種類がある。

今回は運賃が最も安い硬座に乗車した。




Vang Vieng→Vientiane 硬座 90000kip(約900円)



硬座は往路で乗ったファーストクラスと違ってとてもにぎやか。

指定席なのに実質自由席となっていて、床にはゴミが散乱し、皆それぞれスマホのスピーカーから音楽を流していた。
 
客室は3+2の5列シート。硬座という名前ではあるがクッション入りのシートでそれなりに柔らかい。
案の定、僕の指定席には既に知らない人が座っていたので空いている別の席に座った。
同じボックス席の人達に出身地について聞かれ、ジャパンだと答えると日本についての質問攻めに遭うことに。


 


バンビエンから82分。始発のボーテンを出て約400km、5時間かけて走ってきた列車はほぼ定刻でビエンチャンに到着。東南アジアの鉄道らしからぬ定時性の高さだ。






カメラを持ってホーム上でウロウロしていると次第に警備員氏の視線が厳しいものになってくるので頃合いを見て退散。




 

 

夜のビエンチャン駅。

 

駅の写真を撮りながらフラフラしていると、乗車予定の三江市場行きバスが発車時間を待たずに早発してしまった。

最終バスを逃したので路頭に迷いかけたものの、客引きをしていたトゥクトゥクに150000kip(約1500円)を支払って無事にビエンチャン市街へ戻れることに。

ラオスは周辺国に比べて妙に物価が高いのでトゥクトゥクもかなり高額だった。

 

 

総評

 

従来バスで4時間かかっていたビエンチャン-バンビエンが1時間。

未舗装路をバスで10時間以上かけて行くルアンパバーンまでは2時間で到達出来るようになったジェネリック人民鉄路。

 

駅へのアクセスが不便、切符は現地に行かないと購入不可、列車本数が少ない等の問題点もありますが、気軽に中国鉄路・緑皮車の雰囲気を楽しめる楽しい列車でした。

是非一度乗車してみてはいかがでしょうか。