岩手県北バス 冬のボンネットバス

2022年1月執筆


日本で唯一、ボンネットバスが一般路線バスとして定期運行されている路線がある。

岩手県八幡平市の山奥を走る岩手県北バス 松川温泉線だ。


積雪の多い松川温泉周辺は冬季に通常の路線バス車両を運行することがが難しいため、雪の傾斜路に強い全輪駆動タイプのボンネットバスが今なお現役で活躍している。


岩手県北自動車 岩2く6111 いすゞTSD40改 1968年式
岩手県北自動車 岩2く6111 いすゞTSD40改 1968年式

松川温泉線で活躍している6111号車。
不整地向け全輪駆動トラック“TSD”のシャーシにバス車体を架装した車両だ。
1968年式ということで今年で54歳。かなりの長寿車両である。

この路線は、
盛岡駅〜八幡平マウンテンホテル〜松川温泉
という経路を辿るが、ボンネットバスを運行しているのは末端の八幡平マウンテンホテル〜松川温泉間のみ。
時刻表の上では全区間を直通するかのように表示されているが、実際は八幡平マウンテンホテルで乗り換えとなる。


フカフカの新雪が降り積もる松川温泉
フカフカの新雪が降り積もる松川温泉

松川温泉周辺は積雪が多く近年の低床バスでは運行が難しい道が続く。
観光用として古いバスを保存している事業者は多々あれど、ボンネットバスの走破性能を買って運行しているのはここだけだ。


運転席の様子
運転席の様子
客室の様子
客室の様子


トロ感溢れる車内にはツーマン運行時代の車掌台も残されている。

現在はワンマンカーなので整理券発行器や運賃箱、2022年春サービス開始予定のICカード乗車券「iGUCA」のタッチ端末等が用意されている。

液晶式の運賃表示器も設置されていたもののの、乗車日は稼働していなかった。



“松川温泉 狭雲荘”付近はかなりの狭隘路
“松川温泉 狭雲荘”付近はかなりの狭隘路
“岩手県民の森”付近の白樺並木を行く
“岩手県民の森”付近の白樺並木を行く
“八幡平マウンテンホテル”での乗り換え風景。左の車両が盛岡駅から来たバスだ。
“八幡平マウンテンホテル”での乗り換え風景。左の車両が盛岡駅から来たバスだ。

 

 

ボンネットバスは冬期間の八幡平マウンテンホテル-松川温泉間を1日3往復している。

冬期以外は通常の路線バス車両になるので注意が必要だ。


終点・松川温泉には3つの温泉旅館があり、趣のある雰囲気の露天風呂が楽しめる。ボンネットバス乗車の際はこちらも合わせてオススメしたい。

厳冬期の露天温泉は気持ちが良い!



取材日:2022年1月1日