
春のヨーロッパ遠征、二カ国目は中欧オーストリアへ。
今回の目的は、オーストリア連邦鉄道の旧型電気機関車「Rh1144型」。いわゆる“湘南顔”と呼ばれる、二枚窓で鼻筋の通ったフロントフェイスが印象的な車両だ。かつては花形機として幅広く活躍していたものの、今では次々と投入される新型機の陰に隠れ、活躍の場は減少。首都ウィーンでも、一部の近郊列車などで細々と運用が続いているのみである。
さて、一部の日本人撮り鉄には、編成写真に謎のこだわりがある。右アタマ、つまり複線の左側通行区間で先頭車両が構図の右側に来るのが理想的とされている。しかし残念ながら、オーストリアの鉄道は基本的に右側通行。これでは編成写真には少々不向きである。(形式に囚われた個人の意見です)
ところが、ウィーンからチェコ方面へと伸びる「フランツ・ヨーゼフ鉄道」だけは、例外的に左側通行。この路線の快速列車レギオナルエクスプレスの一部には、今なおRh1144が使われているという。左側通行で1144型。撮るならここしかない。
現場に到着し、線路脇でカメラを構える。日没15分前、ついにCityjet-Dosto客車を牽引するRh1144型が現れた。
二枚窓で折妻の湘南顔、丸窓が並ぶ側面、無骨な紅白塗装。どこか国鉄時代を思わせる機関車をジャパニーズ・トリテツ・アングルで捉える事が出来た。

続行でやってきたのはタウルスことRh1116型。連邦鉄道を代表する主力機で、滑らかな流線形が特徴。日没寸前の限界光線の中を通過するその姿は大変おブイでした。