春のヨーロッパ遠征、三カ国目はスイスへ。
今回の目的は、国鉄SBBの激ブイ電気機関車「Re420形」(旧称 Re 4/4 II)
1960年代に登場したこの機関車は、半世紀以上にわたって特急から貨物まで幅広く活躍してきたものの、近年は客車列車の電車化が進み、活躍の場は大きく減ってしまった。現在は主に貨物列車や、ごく一部の旅客列車に使用される程度である。
そんなRe420の“花形運用”ともいえる役割が、ナイトジェット牽引である。オーストリアからスイスへと乗り入れる寝台特急ナイトジェットは、スイス国内区間でRe420が先頭に立つことが多く、日照時間の長い夏場であれば早朝の順光下で狙うことができる。
というわけで、ナイトジェットを順光で狙える国境の街Sevelenへ。
グラーツ発チューリッヒ行き寝台特急NJ464列車を撮影。Re420による数少ない優等列車運用のひとつである。無骨な旧型機関車と夜行列車らしい風格のナイトジェット客車の組み合わせは大変おブイでした。
昼間は貨物列車に充当される事に賭けて、ザンクト・ガレン近郊の線路側でカメラを構えた。
スイスらしい丘陵地帯で待機すること数時間――、現れたのは、郵便輸送列車「ポストツーク」。完全にノーマークだったが、幸運にもRe420牽引でやってきてくれた。
勾配線区向け6軸機、Re620型による砂利輸送列車も通過。旧型機の貨物が2本も来たのでハオでした。
この路線で興味深かったのが、この電車(?)
国鉄線上でSバーンを運行する会社「サーボ」の車両で、一見すると普通の電車のように見えるが、実は動力車と客車を分離させた動力集中式車両となっている。
動力車には客室が無く、まるで電気機関車のような雰囲気。分類上は“電車”の扱いではあるのだが、“客車列車”のような編成で、日本では見られない形態の車両だった。
夜はチューリッヒ中央駅で、ナイトジェットの夜間撮影を実施。
Re420の定期旅客運用は風前の灯であり、今後も廃車が進むことが予想される。本形式の記録を検討している場合は、可能な限り早めの現地訪問をおすすめしたい。