台鐵の荷物輸送を撮る

2024.10
莒光653次 新竹
莒光653次 新竹

  

20時58分、新竹駅に「莒光號653次」が滑り込んできた。
その編成の最後尾には、今では貴重となった青色の荷物車(郵政行李車)がひっそりと連結されている。乗務員が手際よく荷物を下ろし、新たな箱を積み込んでいく。かつての日本の駅でも見られたであろう、そんな懐かしい鉄道風景が、ここ台湾で静かに息づいている。
  
 
 
莒光653次 新竹
莒光653次 新竹



現在台鐵に残る客車荷物輸送は3日間かけて台湾を1往復する1運用のみ。

趣のある青色の荷物車(郵政行李車)は引退が進み、運用中の車両は橙色の電源荷物合造車(電源行李車)が大半を占めているらしい。滞在中も運用に就いている青色客車は1両だけだった。
 
 



というわけで、莒光號の残り香を求めて台湾へ行ってきた。
新竹駅で荷物輸送を撮影した翌日は台南の線路際で2種類の客車列車を撮影することに。


莒光511次 新營-柳營
莒光511次 新營-柳營
自強121次 新營-柳營
自強121次 新營-柳營


東芝製の新型電機 E500型が牽引する「PP自強號」。2024年にデビューしたばかりとは思えない堂々たる風格で、正統派の客車列車といえる姿がデンシャオタクの心をくすぐる。これからの台鐵を担う存在として、頼もしい姿だった。
 

 


莒光516次 臺中港-清水
莒光516次 臺中港-清水


翌日は台中まで北上し、海線を北上する莒光號を狙う。
日中時間帯に上ってくる莒光516次は荷物車のない8両編成。


莒光554次 臺中港-清水
莒光554次 臺中港-清水


夜に上る莒光554次は機関車次位に郵政行李車を連結した10両編成。荷物車内にほんのり灯った白熱灯が良い雰囲気を出している。

撮影後はこの列車を追いかけるため、高速鉄道で台北までワープすることに。台中港から新鳥日を経由し、台北の松山駅には莒光號の10分前に到着。ギリギリで追いついた。

 

莒光554次 松山
莒光554次 松山


莒光号554次が台北松山駅に到着。
ホームでは三輪の手押し荷車が2台用意されており、荷物の積み下ろしが行われる。積み荷には「JAやまがた」と書かれた段ボールが…! もしかすると、これは日本から輸出されてきたサクランボだろうか。国際的な物流の一端を、古風な手法で支えている点は非常にハオみが深い。

 

 

莒光554次 松山
莒光554次 松山

 

 

莒光號の運行本数が少しずつ減らされる中でも、荷物輸送を担う便は、しばらくの間は残される予定だという。

地味ながらも、確かに走り続ける台鐵の荷物輸送。その終着駅は、まだ少し先にあるようだ。


 

 

台鐵荷物輸送 時刻表(2025年1月現在)

 

莒光554次 潮州1300→花蓮056 機関車次位に荷物車連結

 ↓

莒光602次 花蓮631→台東1006 機関車次位に荷物車連結

 ↓

莒光653次 台東1135→彰化2251 最後尾に荷物車連結

 ↓

莒光501次 彰化525→潮州936   最後尾に荷物車連結

  

これ以外にも一部のEMU(電車列車)にて、客室の一部を荷物スペースとして使用するケースも確認されている。