BMTA(バンコク大量輸送公社)が運行するこのバスは、どこまで乗っても8バーツ(約40円)という安さが最大の特徴です。車内は冷房もなく、日本製の古いエンジンが唸りを上げ、黒煙を吐きながら力強く走る姿は、かつてのバンコクの象徴でもありました。
しかし、近代化の波により2027年までの全廃が決定。街中にはピカピカの電気バスが増える一方で、日本メーカー製の旧型ディーゼルバスは静かにその役目を終えようとしています。完全引退まであと2年余り。消えゆく赤バスの最後の活躍を記録するためバンコクを歩きました。
日本のエアロスターKにそっくりな三菱製の大型バスRP118。赤バスの中では唯一のリアエンジン車であり、その日本的なデザインから個人的イチオシの車種であります。
赤バスは基本的にシャーシのみが日本メーカー製で、車体はタイ国内のコーチビルダーが架装していますが、このRP118は明らかに日本の呉羽車体のエアロスターを強く意識した造りとなっています。三菱シャーシなのであえて寄せた外観にしたのでしょうか。
| ▲RP118(タイ) | ▲MP218(日本) |
タイと日本の三菱製バスの比較。前面の曲面具合や、ライトケース、そして特徴的なセーフティウィンドウまで、非常によく似た外観をしていますね。後述の他メーカー車は、ここまで日本製ボディを再現してはいなく、三菱シャーシのみの特徴です。
前面もさることながら、後面のデザインはエアロスターKそのもの。日本でもお馴染みのバス協テールが付いていて大変おブイでした。
みんな大好き日野AK! 赤バスの中でもひときわレトロな外観を持ち、圧倒的なマニア人気を誇るキャブオーバーバスです。
バンコク中心部で一番よく見かけるのがいすゞシャーシに現地バスボディを架装したMT111QB。
三菱や日野と比べると、どこか野暮ったい印象の前面が一周回ってかっこいいですね。
特にこの「くの字」に折れ曲がったフロントデザインは、かつて新潟交通などで見られた北村製作所架装のいすゞLV(通称:ナマズ)を彷彿とさせます。やはりいすゞシャーシなのでデザインを寄せたのでしょうか。
これらの赤バスは2027年までに全廃されると発表されていますが、果たして本当に計画通り進むのかについては、個人的にやや疑問を感じています。確かに赤バスの数は以前より減少していますが、それでも街中にはそれなりに纏まった台数が走っています。タイにおいて鉄道やバスの置き換え計画が延期されるのは珍しいことではなく、赤バスがしぶとく生き残る可能性も、決してゼロではない……のかな……?
本項のみ2022年撮影
赤いバスは前述の大型バスだけではありません。バンコクの日本人街にも程近いトンロー通りを走る短距離シャトル、1019系統「トンローバス」には、骨董品のようなミニバスがひっそりと生き残っています。
トンローバスでは専属のミニバスが複数台運用されています。僅か2kmの距離を往復するだけの小規模な路線ですが、1台1台異なった車両が走っているのが面白いところ。シャーシは不明ですが、70~80年台製の非常に古い車両が集結しています。
トンローバスも2027年までに電気バスへ置き換わることが発表されており、雑多なバスが集まる光景も間もなく見納めとなります。
今回の探索で出会った、赤バス以外の気になる車両たちも少し紹介します。
今回3年ぶりとなるバンコク訪問で最も大きな変化を感じたのが、この車両の台頭。街を走るバスの大半が紺色の新型バスに変わっていました。調べてみるとタイスマイル社の電気バスで、ここ3年ほどの間に数千台規模で投入されているそう。
日野のエンブレムを掲げた古めかしいバスに遭遇しましたが、その正体は韓国・大宇製(車体はタイ製)。タイでは古い車両に他メーカーのエンブレムを後付けするケースがしばしば見られます。モノコックバスを思わせる丸みを帯びたフロントフェイスが大変おブイですね。
バンコクではありませんが、タイ北部ノンカイでは国境シャトルバスで使われる元京都市バスのブルーリボンを拝んできました。この車両は、国境に架かる「タイ・ラオス友情橋」を渡る姿がファンの間で有名ですが、タイ側では公道上で折り返し作業を行うため、街中で容易に型式撮りが可能でした。
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